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黄 :  本日はお時間を頂きありがとうございます。
先生は何年か前に日本に留学にいらっしゃいましたが、何故留学先を日本にしたか、理由をお聞かせ下さい。

賀 :  私が日本に来たのは20数年前です。ちょうど中国の解放改革の時代です。 中国ではなく外国はどういう国なのか、非常に興味があり、当時の日本は経済的にも、 また技術的にも進んでいるという印象でした。加えて、日本から中国に来て鍼を学びたい 日本の学生も多く、日本の鍼と中国の鍼の違い等を見て、日本の鍼の歴史も古く、 日本の鍼の実態を知りたいと思うようになりました。それらがきっかけとなり、日本を留学先に選びました

黄 :  日本へ来て困ったこと、感動したことはありますか?

賀 :  日本に来てから、日本の鍼に触れ、想像していたそれとは少し異なりました。 日本では小さな診療所での施術ばかりで、大きな病院や大学病院では鍼を取り入れていない事を知り、 少しショックを受けました。何故なら、このまま日本で鍼師としてやっていけるだろうか、 と心配になりました。しかし、日本という国は人間の信頼関係で成り立っている国なので、 一度信頼されれば、いつでもどこでもついてきてくれる、ということも分かりました。 この点は非常に感動しました。というのも、私はいろいろな人、様々な分野の方々に信頼され、 この人の為に施術したいと思うようになり、今日まで二十数年続けてきました。

黄 :  先生は大学も日本で学ばれたのですよね。

賀 :  はい。ますは語学、日本語を学び、東京医科歯科大に研究生として入りました。 私は幼いころから鍼の世界で育ってきたので、自分もやはり鍼の世界で生きていくのが 良いのだろうと思い、東京医科歯科大で学んだ後、日本鍼専門学校に進学し、鍼の免許を取得し、開業しました。

黄 :  中国の鍼の施術方法と日本の鍼は異なりますか?

賀 :  中国と日本の鍼はやはり少し違いますね。中国の鍼は日本で言う現代医学と結合したものでありますが、 日本では大きな病院や大学病院で取り入れられていないように、扱われ方が異なっています。。

黄 :  中国の中医(東洋医学)と日本が主に採用している西洋医学の融合が最も良いのではないかと思います。

賀 :  そうですね。昨今は薬の副作用の問題等がありますように、病気の初期症状の頃から、 鍼や漢方薬、薬膳を取り入れることで、もっと健康的になれるのではないかと思います。 難病の方々の目標は単純に病気が治って欲しいことですが、治す為にはいろいろな良い方法を組み合わせて行うのが、 理想的だと思います。但し現在はその様になっていないのが現状です。

黄 :  私が知る限り、中国では手術は西洋医学で実施して、その後、中医で治すということを目にしたり、 聞いたりしますが、日本もこの方法を取り入れたらよいと思いますが。

賀 :  これからそういう方向に進めばよいなと思います。現在も難病の方を診ていますが、 もうすこし早く来てくれていれば、と思うことがあります。いつか東洋医学(鍼)がもう少し医療手段として 認知されるようになればいいと思います。西洋医学の先生とコラボレーションできれば良いですね。 私は臨床の他に日本の鍼灸師を育てることもしています。今後さらにやりたいのは、日本における鍼を もう少し普及できたらいいと思います。どういう形でやるのが最善なのか、現在も悩んでいますが・・・、。 西洋医学だけではなく東洋医学も治療手段の一つとして一般の日本人の方にも浸透したらいいと思っています。 総合的な医療を受けることで、より健康的になってもらいたいですね。現代うつ病の方も非常に多く、 何が悪いのか、どんな食べ物が良くないのかだけではなく、社会的や精神的なバランスが崩れていると思います。 毎食の食事が健康的でいる為には、いかに重要である等を知ってもらいたいです。その為にも、普及活動は重要であると考えます。

黄 :  先生は治療と後輩の指導、普及活動に尽力されているのですね。

賀 :  現代に於いて一番大事なのは環境だと思います。例えば昔は5月病というものがありました。 しかし現在、5月は爽やかで非常に良い季節です。何年か前は5月病がとり立だされていましたが、 ここ数年、誰も5月病と騒がなくなりました。

黄 :  日本は4月が新学期、新年度で新入生や新入社員が新しい環境に入り、 一ヶ月ほど経って体調を崩すというのが5月病だと思っていましたが・・・・ 確かに最近あまり5月病を聞きませんね。

賀 :  私の患者さんにも5月病の方がいました。5月は丁度季節、環境の変わり目で体調が悪くなるという症状です。 ですので、環境の変化に伴い、今何を食べるべきなのか、冷え込んできた時どうするのか、 薄着のままでいる人はいないでしょうし、寝る時も体を冷やさないようにする、消化の良いものを食す等、 内面から気をつけるべきだと思います。

黄 :  中国では体を冷やすものはあまり良くないとされていますが、何故でしょう?

賀 :  今夏イタリアに行ったのですが、スペイン広場では皆アイスクリームを食べていました。 スペイン広場に行ったら、アイスクリームを絶対食べないといけないような雰囲気でしたが、 私は我慢しました。旅先でしたし、体調を崩したくなかったからです。

黄 :  暑い時に急に冷たいものを食べるのは、やはり体に良くないのでしょうか。

賀 :  良くないですね。特に旅先でしたし、環境の変化は体調を崩す原因になります。

黄 :  夏の暑い時、水分補給は重要だと思いますが、先生ならどういうもので水分を摂取しますか。

賀 :  夏、暑いので皆さん冷たいものを欲しがると思います。体温を下げることは重要ですが、 冷たいものを突然飲むと、体内を刺激してしまい、胃腸の働きを阻害して、逆に口元が乾いてきてしまいます。 どうしても暑い時に冷たいものを飲みたい場合はすぐに飲み込まず、一旦口に貯めて、2,3秒口に含んでから飲み込むのがよいと思います。 また最近ストローを良く使っていますが、ストローも一気にのどに入ってしましますので、 一番良くないのではないかと考えます。私はストロー禁止のキャンペーンをやりたいぐらいです。 外食時など、ストローが入っていたら、ストローを外して飲んで頂きたいです。その際も一旦口に含んでから飲み込むことが大切です。

黄 :  冷たいものは可能な限り避けた方が良いのでしょうか。夏であっても温かいものを飲んだ方が良いということですか。

賀 :  水分補給は重要ですが、暑いと逆に飲みすぎてしまします。水分を飲みすぎると、「水毒」になります。 飲んだ水が毒になるということです。飲み過ぎない様にどれくらい汗をかいたか、どれくらい小水を出したか、 自分で少し計算して自分の体の声を聞くことが大事だと思います。暑い夏はどうしても水分を取りたくなりますが、 特に年齢と共に胃腸の働きも衰えますから、気をつける、我慢することが必要です。胃腸の働きが低下した時、 飲みすぎて場合はお腹がポチャポチャ鳴りますね。

黄 :  夏に中国に行くと、菊花茶が良いとよく勧められました。

賀 :  菊花は清熱作用がありますので、夏に飲むと夏の暑さを体内から取ってくれる作用があります。 菊花茶は冷たくして飲むものではなく、温かいうちに飲み、解毒作用を促します。

黄 :  中国は食べ物などいつも健康と密接な関係にあると感じます。今日は暑いからこれを食べなさい、等とよく言われます。

賀 :  そうですね。まさに中国の食文化です。しかし、現在もう一つ問題として挙げるのは、暑い時クーラーをつけてますよね。 そうすると、体が夏なのか、冬なのか分からなくなっている可能性もあります。従って昔のままの方法を採用しても、 環境が変化した今日には適合できないことになります。環境を知ること、理解すること。 そして変化していること点も理解する必要があります。例えば、室内で仕事をする人は朝から晩までクーラーの中にいます。 家に帰っても暑いのでクーラーをつけます。中国の中医学には陰と陽があり、夏の暑い時期は陽にあたりますが、 夏の時期にこの陽を養わなくてはなりません。現在のようにクーラーを使い体を冷やし、冷たい物を飲みますと、陽を取り入れられず、 体を痛めてしまいます。その後、秋、冬にいろいろな病気にかかり易くなると言われます。

黄 :  日本でも夏に体を冷やすと、秋、冬に体調を崩しやすい、バランスを壊すと言われます。

賀 :  夏は養う時期ですので、冷たい物を欲しがっても生姜湯などで体を温める物をとることが大切です。若い人は問題なくても、 現代うつ病の人が多くなっていますが、冷たい物との関係性は深いと思います。精神状態があまり良くない人や薬を飲んでいる人もそうですね。 中医学的には舌でチェックしますが、うつ病の方の舌は湿気が高いのが特徴です。水分が貯まっているからです。 水分も摂りすぎはよくありません。食べ物も同様です。美味しいからと言って食べ過ぎはいけません。ほどほどに・・・

黄 :  暑い夏でも陰、陽の陽を養うことが大切だということは分かりましたが、反対に冬はいかがでしょうか。

賀 :  同様に陰を養うことが大切です。例えば冬でも少々冷たい物を食べても大丈夫です。 胃腸の弱い方は特に夏に冷たい物を食べると下痢をしてしまうかもしれませんが、冬であれば平気かもしれません。 陰と陽のバランスが非常に重要です。

黄 :  冬は“陰”を養うため、冷たい物を食べても多少は体が耐えられるということですね。

賀 :  何故水を撮り過ぎると良くないのかというと、水は“陰”のものです。温かいお湯であっても、 やはり“陰”です。従って温かいお湯を飲んでも“陰”の働きをしてしまうということになります。

黄 :  それでは生姜は“陽”のものなのですか。

賀 :  生姜は生のものを干して乾燥したもので性質が異なります。乾燥したものは体を温める作用があります。 現在夏が終わろうとしてますが、サラリーマン達は外はまだ残暑で暑いので、外に出かけるのが嫌になりますが、 外に出て太陽を浴びて、外の空気を吸って内臓を温めることが大切です。汗をかくのは避けたいところですが、 温かいものを食べて、空気を吸ってください。

黄 :  外の温かい空気を吸って、内臓を温めることが大事だということがわかりました。 では、日本における中医の更なる普及と展望についてお考えを教えてください。

賀 :  一番の願いは、政府の予算に組み込まれるようになったらいいなと思っています。 現在既に医療費が膨らんでいる為、難しいとは思いますが。ただ将来的に国の予算に加味されるように なるのだろうとは思っています。中国でもアメリカでも保険の対象になっているところも増えていますので、 日本も同じような体制になってくるだろうと思います。又、将来東洋医学が普及していくには、人材が大切です。 普及の為にも最重要課題と認識しています。人材の育成に力を入れたいです。

黄 :  先生の診療所には日本全国から患者さんが来ていると聞いていますが、鍼の効果の評判が、人から人へ伝わり、 口コミとなっていると思います。又、講演会を行ったり、今回本も出版されましたね。 どうしても西洋医学では解決できないものを中心に、先生にはご活躍頂きたいと思います。

賀 :  やはり人間は幸せでいることが一番だと思います。生きて行く為の幸せは何かというと、貯筋です。 筋肉の貯金の貯筋です。勿論お金の貯金も大切です。昨今、高度医療が発達していますが、病気になり、 高度医療が必要になればお金がかかります。しかし、その様な病気にかからない様に、筋肉を鍛えることも同様に有用です。 又、難病を抱える人は特に同時に多方面からの治療を施すのが非常に有用だと思います。 一つの治療で効果がない為、次の治療に、というのでは間に合わない可能性があります。 良いことは同時に受けることがいいと思います。食べ物、筋肉を鍛えるトレーニング、西洋医学、東洋医学、全てを同時に受けるべきですね。

黄 :  健康でなければ、美味しいものも食べられないですし、やはり健康が一番ですね。

黄 :  いろいろな患者さんを診てきた中で感じたのは、うつ病になる人が多いということです。 何故うつ病になり易くなってしまったか、原因について、私は人と人との交流、コミュニケーションが上手く図れていないのではないかと考えます。 サラリーマンであれば会社内の雰囲気が良くないのではと思います。 特にIT産業です。会社で隣の人と会話もなく、自分もPCに向かって仕事をする、という環境が引き起しているように感じます。 IT業界の人に具合が悪くなる人が多いのも特徴です。慢性的な疲労が継続することも、治療が難しくなる要因でもあります。 今回出版した本は、これまでの診療に基づくものですが、うつ病でない人も読んで頂きたいと思います。

黄 :  現代病であるうつ病をはじめ、その他の治療も、先生の東洋医学と先進医療である西洋医学、両方を上手く融合して、 今後の皆さんの健康、幸せの為に先生に頑張って頂きたいと思います。この治療という身近なものを通して、 日中文化の融合を図っていけるといいですね。

賀 :  日本に来ていろいろな方にお世話になりました。貢献できればと思います。

黄 :  先生の益々のご活躍をお祈りしています。本日はありがとうございました。

 

 

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